GREEN FUNDINGでクラウドファンディングに参加していた骨伝導ヘッドホンの雄、Shokz(旧:AfterShokz)の新しいフラッグシップモデル OpenRun Proが届いたので早速1日リモートワークで使い倒してみた。
Shokzとは
それまでの骨伝導ヘッドホン・イヤホンとは一線を画すクオリティと話題になったAeropexで一気に知名度を上げたメーカー。
耳が空くことによる自然な外音取り込みと、長時間装着しても快適であるという特徴がリモートワークでの会議シーンにマッチして、ガジェット好きのリモートワーカーの間で一気に好評を博し世間に広まっていった(と自分の観測範囲では見えている)。
今回リリースする新たなフラッグシップモデルと共に、旧名であるAfterShokzからShokzにブランドネームを変更した。
Unbox
レビュー
以下のレビューは筆者が愛用して1年以上使い倒したOpenMoveとの比較となる。
前フラッグシップであるAeropexは参考程度にしか触っていないので、Aeropexユーザーが乗り換えたときの感触とは異なるであろうことを最初に断っておく。
着け心地
ファーストインプレッションは「軽く、優しい付け心地」
サイズ比較して分かるように、OpenMoveからは見るからにサイズが小さくなった。
重量はOpenMove, OpenRunともに29gなのだが、こめかみの締め付けが強烈でなくなったこともあって軽い装着感となっている。
また、OpenMoveでは音量が大きいときにビビりが発生して耳元がこそばゆくなっていたが、OpenRunでは音量を上げても物理的な振動は感じづらく、締め付けは弱いにもかかわらずフィット感はむしろ高く感じた。
音質
OpenMoveからの最大の変化が音質。
利用条件は主にリモート会議(中音域メイン)だが、特性を確認するために音楽も聴いてみた。
サンプルは全音域でまんべんなくうるさい岸田教団の曲をチョイス。
会議レベルでは、高音域と空間処理はかなり進歩している印象を受けた。具体的には"s"と"th"の聞き分けがしやすくなったと言えばわかるだろうか。ブレス音が聞き取れるようになったのだろう。
相手が無指向の会議室マイクを使っているような場面では、臨場感が出るようになった。OpenMoveでは意図的に中音域のみを強くして人の声を聞こえやすくしていたことが感じられたが、OpenRunでは自然音に近づいている。
ただ、その結果として相手の音質の粗が目立つようになったはご愛嬌。マイク音質については録音してOpenMoveと聞き比べたが大した変化はなかった。
音楽鑑賞による確認
高音低音が行方不明になり1秒でまともな鑑賞をあきらめたOpenMoveに比べれば、ギリギリ音楽として聞けるようになったと言える。
ただ、その後Sony WH-1000XM4で本来の音を確認してから、OpenRunに戻ったら全てがスカスカに感じてしまうので、骨伝導の限界を感じた。
特に、ベース音がほぼ聞こえないあたり低音はまだまだ足りない。
あくまで、人の話し声が中心となるコンテンツを長時間楽に視聴するためのものか、もしくは運動中に安全に利用するためのヘッドホンという位置づけが本来の使い方になりそうだ。
充電
急速充電・10時間稼働がウリのOpenRun。
OpenMoveではスペック上の連続稼働時間が6時間と、1日中会議が入っている予定では1日持たず、昼間の充電が必須となっていたが、OpenRunでは必要ないはず。
ただ、1日目ではその急速充電・ロングランが活きる場面がなくこれはまだ実感できなかった。USB TypeC端子ではなくなってしまったので、充電ブースの工夫が必要になる点はネックか。
運動時
OpenMoveもOpenRunも同じくIP55, 前フラッグシップのAeropexはIP67で一定時間の水没に耐える規格だったが、変更されている点には注意
ただし、IP55であれば汗程度の水滴には耐えるので、運動中の汗や洗い流す水流には特に問題はない。
なお、自転車での利用はOpenMoveを購入した際に試したが、30km/h前後からは風切り音がうるさくなり、とても何かを聞くことのできる状態ではなくなる。よほどゆっくりとしたペースでもない限りサイクリング中にナビを聞くような使い方はできないとおもっていいだろう。
まとめ
OpenMoveからの乗り換えであれば、少なくとも買う意味はあったと思わせてくれる製品。
骨伝導ゆえの限界はあるものの、自然な外音取り込みを実現しつつ確かに品質が上がっている。Aeropexからの買い替え需要はわからないが、軽い付け心地になったので、バッテリーも相まって更なる長時間稼働が期待できそうだ。
Aeropexと同等の防水機能を持った後継機であるOpenrun無印も存在している。音質の向上はされていないが、水中利用を考える人はこちら